一般会計
一般会計の決算収支では、歳入は513億3,059万3千円、歳出は487億7,588万1千円で形式収支は25億5,471万2千円、翌年度へ繰越すべき財源を除いた実質収支も9億9,900万8千円といずれも黒字となっている。また、前年度の実質収支を差引いて財政調整基金積立金などを加味した実質単年度収支は3億8,243万2千円の黒字となっている。
歳入について見ると、地域活性化交付金などの国庫補助金の減や佐渡総合病院移転新築事業の終了に伴う市債の減などから、前年度と比較すると19億4,012万8千円の減となっている。
歳入総額のうち主なものは、地方交付税、市債、市税、国庫支出金などである。特に地方交付税は234億9,872万8千円で歳入全体の45.8%を占めている。
市債発行額の歳入全体における割合は14.6%で、前年度と比較すると収入済額は10億3,335万1千円減少している。 これは合併特例債の発行額が27億7,250万円で、前年度より10億5,190万円減少したことが主な要因である。地方債現在高は、前年度より10億7,399万円増加し、561億6,204万1千円になっている。
歳入総額のうち自主財源は115億5,782万3千円で、前年度より4億4,104万4千円の増であり、歳入全体に占める割合も22.5%と1.6ポイント高くなっている。
市税の収入未済額は6億9,875万5千円で、前年度より303万3千円の増、徴収率は88.1%で前年度と比較すると0.1ポイント低下している。
市税の収入未済額及び徴収率の推移
収入未済額(千円) | 徴収率(%) | |
---|---|---|
20年度 | 587,453 | 88.9 |
21年度 | 604,547 | 89.7 |
22年度 | 664,202 | 88.7 |
23年度 | 695,722 | 88.2 |
24年度 | 698,755 | 88.1 |

なお、市税を除くその他自主財源の収入未済額は8,845万4千円となっており、前年度と比較すると3.1%、287万4千円の減となっている。
その他自主財源の収入未済額の主なものは、保育料が1,825万8千円(収納率94.4%)、住宅使用料等が6,022万6千円(収納率78.8%)であり、この合計額7,848万4千円は、市税を除くその他自主財源の収入未済額全体の88.7%を占めている。
その他自主財源の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
20年度 | 60,058 | 97.6 |
21年度 | 71,129 | 97.7 |
22年度 | 86,995 | 96.7 |
23年度 | 91,328 | 96.4 |
24年度 | 88,454 | 97.0 |

歳出について見ると、補助費、扶助費が増加したものの、前年度実施の経済対策や佐渡総合病院補助事業や陸上競技場整備事業の終了に伴う普通建設事業費の減、減債基金や教育文化振興基金への積立の減、人件費における退職手当負担金の減のため、前年度と比較すると歳出全体では22億5,260万8千円の減となっている。
特別会計
12特別会計の歳入総額は213億7,578万6千円、歳出総額は209億4,888万1千円で形式収支及び実質収支は黒字決算である。また、前年度の実質収支を差引いた単年度収支は9,766万1千円の黒字、財政調整基金積立金などを加味した実質単年度収支においても7,949万1千円の黒字となっている。
なお、一般会計から特別会計への繰出金は41億2,381万2千円、特別会計から一般会計への繰出金は2,042万2千円となっている。
国民健康保険税の収入未済額と徴収率の推移
収入未済額(千円) | 徴収率(%) | |
---|---|---|
20年度 | 276,137 | 82.1 |
21年度 | 273,646 | 80.5 |
22年度 | 295,195 | 80.9 |
23年度 | 312,283 | 79.4 |
24年度 | 319,047 | 79.9 |

国民健康保険特別会計において歳入は、国民健康保険税の改正による国民健康保険税の増、交付金や繰入金の増により、歳入総額は前年度と比べ1億9,795万6千円の増となっている。
また、歳出は年間被保険者数が減となったものの、高額療養費の件数及び給付額が増、後期高齢者支援金等及び介護納付金なども増となったことにより、歳出総額は前年度と比べ1億4,650万6千円の増となっている。
歳入における国民健康保険税の収入済額は13億4,499万2千円で、徴収率は79.9%、歳入総額に占める割合は18.4%である。収入未済額は3億1,904万7千円で、前年度と比べ676万4千円の増となっている。不納欠損額は2,024万2千円である。
後期高齢者医療保険料の収入未済額と収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
20年度 | 3,529 | 99.2 |
21年度 | 4,792 | 98.9 |
22年度 | 4,678 | 98.9 |
23年度 | 4,587 | 98.9 |
24年度 | 4,624 | 98.9 |

後期高齢者医療特別会計において歳入は、被保険者数などの増により保険料が1,479万5千円の増となったものの、新潟県広域連合への派遣の終了による雑入の減が上回り、歳入総額は前年度に比べ196万8千円の減となっている。
また、歳出総額は人件費などの減により、前年度に比べ200万8千円の減となっている。
歳入における保険料の収入済額は4億5,367万1千円、収納率は98.9%で、歳入総額に占める割合は63.4%である。収入未済額は462万4千円で、前年度に比べ3万7千円の増となっている。不納欠損額は60万9千円である。
介護保険料の収入未済額と収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
20年度 | 12,875 | 98.5 |
21年度 | 15,670 | 98.5 |
22年度 | 15,906 | 98.3 |
23年度 | 19,057 | 98.2 |
24年度 | 22,649 | 98.1 |

介護保険特別会計において歳入は、被保険者数の増などにより保険料が2億5,868万円の増、国庫支出金、支払基金交付金及び県支出金も増となり、歳入総額は前年度と比べ4億2,739万3千円の増となっている。
歳出総額は保険給付における延受給者数の増により、前年度と比べ3億4,753万1千円の増となっている。
歳入における保険料の収入済額は13億1,694万4千円、収納率は98.1%で、歳入総額に占める割合は16.8%である。収入未済額は2,264万9千円で前年度と比べ359万3千円の増となっている。不納欠損額295万2千円である。
簡易水道特別会計における使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
20年度 | 2,547 | 99.4 |
21年度 | 2,067 | 99.4 |
22年度 | 2,133 | 99.5 |
23年度 | 2,614 | 99.1 |
24年度 | 3,185 | 99.0 |

簡易水道特別会計において歳入総額は前年度と比べ5億2,877万円の減、歳出総額は5億3,980万1千円の減といずれも30%を超える減となっている。これは建設改良費の繰越明許費の増に伴って国庫支出金、繰入金及び市債の収入も繰越となったことが影響している。
歳入における使用料及び手数料の収入済額は3億2,359万2千円で、収納率は99.0%、歳入総額に占める割合は29.4%である。収入未済額は318万5千円で前年度と比べ57万1千円の増となっている。
下水道特別会計における分担金及び負担金、使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
20年度 | 82,689 | 89.4 |
21年度 | 55,613 | 90.5 |
22年度 | 51,243 | 92.5 |
23年度 | 47,768 | 92.8 |
24年度 | 40,572 | 93.8 |

下水道特別会計において歳入総額は国庫支出金及び市債の減などにより、前年度と比べ1億5,156万9千円の減となっている。
また、歳出総額は公債費が増となったものの、下水道建設費などが減となり、前年度と比べ1億3,557万7千円の減となっている。
歳入における分担金及び負担金、使用料及び手数料を合わせた収入済額は6億9,519万円で収納率は93.8%、歳入総額に占める割合は22.7%である。収入未済額は4,057万2千円で前年度と比べ719万6千円の減となっている。不納欠損額は566万8千円である。
ケーブルテレビ特別会計における使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
20年度 | ||
21年度 | 2,923 | 97.3 |
22年度 | 3,981 | 96.5 |
23年度 | 4,059 | 96.5 |
24年度 | 3,869 | 96.6 |

ケーブルテレビ特別会計において歳入は、前年度と比べ新規加入者の減による負担金の減、繰入金及び繰越金も減となり、歳入総額は1,241万9千円の減となっている。
また、歳出総額は新規加入者引き込み工事などの減により、前年度と比べ1,335万5千円の減となっている。
歳入における使用料及び手数料の収入済額は1億1,094万2千円で、収納率は96.6%、歳入総額に占める割合は44.2%である。収入未済額は386万9千円で、前年度と比べ19万円の減となっている。
歌代の里特別会計
歌代の里特別会計において歳出で特別養護老人ホーム費が319万円の減となったが、歳入でサービス収入が1,354万7千円の減となったことにより、歌代の里運営基金からの繰入金が1,170万円の増となっている。
すこやか両津特別会計における自己負担金収入の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
20年度 | ||
21年度 | 1,589 | 98.2 |
22年度 | 3,865 | 96.0 |
23年度 | 2,941 | 97.0 |
24年度 | 1,604 | 97.9 |

すこやか両津特別会計において歳入で、サービス収入804万8千円及び繰越金877万4千円の減となり、歳出で介護老人保健施設費及び公債費が増となったため、一般会計からの繰入金が1,267万3千円の増となっている。
歳入におけるサービス収入のうち自己負担金収入の収入済額は9,254万4千円で、収納率は97.9%、歳入総額に占める割合は15.7%である。収入未済額は160万4千円で、前年度と比べ133万7千円の減となっている。不納欠損額は38万2千円である。
財産区特別会計についてみると、二宮財産区、新畑野財産区及び真野財産区は、それぞれ造林事業に伴う予算執行を行っているが、前年度と比べ歳入歳出ともに減となっている。五十里財産区は造林事業は行っておらず、決算額は前年度と比べ、ほぼ同額である。
特別会計における自主財源の収入未済額を合わせると3億9,555万円となっており、前年度と比べ212万8千円の増となっている。収納率は91.7%と0.4ポイント上昇している。
むすび
平成24年度は、佐渡市将来ビジョンにおける歳入・歳出一体改革の第2段階に入っており、当初予算は市長選挙の関係から人件費・公債費等の義務的経費や施設管理費等の経常経費を中心とした、いわゆる「骨格予算」として予算編成がなされた。その後、いわゆる「肉付け予算」を補正計上し、市民と一丸となって佐渡に元気を取り戻し、「自立できる島・若者が集う島」を目指して「地域資源を活かした産業の育成と雇用の拡大」「島民が一体感を持った観光振興」「過疎・少子高齢化に対した地域づくり」「災害に強い島づくり」「財政規模に見合った健全な行政運営」の五つの分野を重点とした施策が展開された。
佐渡市の平成24年度一般会計及び特別会計の歳入合計額は727億638万円、歳出合計額は697億2,476万2千円となっており、前年度と比較すると歳入は20億2,167万1千円の減、歳出は24億4,993万円の減となっている。
歳入では、地域活性化交付金などの国庫支出金の減や、佐渡総合病院移転新築事業の終了に伴う市債の減、又歳出においては、病院補助事業や陸上競技場整備事業の終了に伴う普通建設事業費の減、減債基金や教育文化振興基金への積立金の減などが主な要因である。
特別会計も含めて市が自ら徴収を要する自主財源であるところの市税、分担金及び負担金、使用料及び手数料、諸収入を合わせた収入未済額は11億8,275万9千円であり、前年度と比べ228万6千円増加している。また不納欠損額は7,081万1千円で、同じく前年度と比べ897万2千円増加している。収入未済額は、自主財源の確保や負担の公平性の確保の観点から、収納体制の強化や関係法令等に基づく的確な収納対策を講ずるなど解消に努め、併せて市民の自主納付意識の高揚に向けた取り組みにも留意されたい。同様に不納欠損についても、厳正な調査や手続きを踏まえ、適切に対応されたい。
地方財政状況調査等にみる財政力指数は0.257で、前年度より0.003ポイント財政力が弱くなっている。財政構造の弾力性を示す経常収支比率は82.9%で、前年度より1.9ポイント硬直化している。地方公共団体の財政の健全化に関する法律における健全化判断比率の一つとなっている実質公債費比率(3か年平均)は13.5%と前年度に比べ0.5ポイント改善している。
市町村合併から平成25年度で10年が経過することにより、合併の特例であった地方交付税の合併算定替が終了し、その後5年間の激変緩和措置を経て一本算定に完全移行することで普通交付税は大幅に減少することが見込まれる。さらに少子・高齢化による扶助費を中心とした社会保障関連経費の増加や老朽化した公共・公用施設の維持管理に要する経費及び更新のための投資的経費の増加などが市の財政に大きな影響を与えることが予想される。しかしながら、住民ニーズの多様化など、市政運営は厳しい現実に直面している。
平成25年度中に佐渡市将来ビジョンが見直される予定であるが、中・長期的な財政計画の中で、地域活性化のために市政運営の効率化を図り、税を投入すべき事業の選択と集中により事務事業を有効的に執行していくことが重要であると考える。