まとめ
佐渡市の平成25年度一般会計及び特別会計の歳入合計額は857億6,344万5千円、歳出合計額は833億7,191万8千円となっており、前年度と比較すると歳入は130億5,706万5千円の増、歳出は136億4,715万6千円の増となっている。
主な要因としては、歳入では、国の緊急経済対策が地方で迅速な実施が図られるように特例の措置として創設された、地域の元気臨時交付金などによる国庫支出金の増や離島航路船舶建造事業、両津港埠頭地区開発事業などに伴う合併特例債の増等であり、また歳出においては、新潟両津航路・小木直江津航路船舶建造事業補助金や前年度から繰越した経済対策事業の増、財政調整基金への積立金の増等である。
なお、財政調整基金の年度末残高は93億4,166万4千円で、財政計画における標準財政規模の20%相当額以上の69億79百万円の目標額を確保している。厳しい財政状況ではあるが、後年度の財政負担に備えて、今後とも基金残高の確保に努められたい。
また、市の自主財源の根幹をなす市税が減少したことにより、一般会計における自主財源の総額は前年度より3,523万4千円少ない115億2,258万9千円で、歳入総額に占める割合も4.4ポイント低い18.1%になっている。
一方、特別会計を含めた自主財源における収入未済額の合計は11億6,912万5千円であり、前年度と比べ1,363万4千円減少しているが、これは不納欠損額を前年度より3,835万円多い1億619万1千円計上したことが要因である。
景気回復の見通しが不透明であり、個人や地域経済への波及が期待できない状況の中で、市税等の自主財源の納入を確保していくことは厳しい環境ではあるが、未収額の増加は市の財政運営に大きな影響を及ぼすばかりでなく、受益者負担や市民負担の公平性を損なうことになる。滞納初期段階での早期の対応や関係する担当部署の横断的な連携による内部協力体制の構築、業務分担の見直しなどにより、縮減に向けた具体的な取組を進められたい。また、不納欠損処分に当たっては、負担の公平と収納確保のため個々の状況を十分に調査して適切に対応されたい。
地方財政状況調査等にみる財政力指数は、0.257で前年度と同じ数値であり、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は82.5%で、前年度より0.4ポイント改善している。地方公共団体の財政の健全化に関する法律における健全化判断比率の一つとなっている実質公債費比率(3か年平均)も13.3%と前年に比べ0.2ポイント改善している。
しかし、市町村合併から10年が経過し、市の主たる財源である地方交付税は、一本算定に移行することによる大幅な減少が見込まれている。また、今後、合併特例債事業の実施に伴う起債償還額の増加も予想され、それに伴い各財政指標の数値も悪化していくことが想定される。今後とも将来の健全な財政運営を見据えた的確な対応を取り組まれたい。
また、基礎的な行政サービスの安定的供給を継続しながら、昨年見直しを行った「佐渡市将来ビジョン」に沿った、地域の魅力を生かした産業や観光の振興をはじめとした各種施策を推進して行くためには、事業の必要性や緊急性などを評価・検証すると共に、財源の減少に対応する行政改革に、全職員が総力を上げて取り組むことが必要であると考える。
次に不適正な予算執行及び改善を求める事務処理について意見を述べる。
農林水産課では、小規模補助治山事業における請負工事(1,216万9,500円)の施行に際し、当初計画の変更により増額する必要となった仮設工事費を捻出するため、佐渡市財務規則に定めた本来の手続きによらず、災害復旧費等の事業目的の異なる支出科目で架空工事等を施行したように偽っていた。
さらに、この架空工事等について、競争入札を避け、随意契約又は指示書発注工事による簡易な事務処理とするため、少額の複数工事に分割し、虚偽の契約書等の作成により、総額1,735万7,550円の支出行為を行っていた。当該行為は不適正な事務処理と認められる。
決算書における財産に関する調書と財産台帳との整合性が取れていないものがある。財産の適正管理については、過去に定期監査等において指摘してきたところであるが周知徹底されていない。これは、佐渡市における財産管理体制の問題である。よって、担当課における確認だけに留まらず、統括担当部署による再検証が必要である。
佐渡市が実施する補助事業の事務処理において、実績報告書の添付書類が不備で事業実績が確認しがたい事例や実績報告書に記載の事業内容が未完了にもかかわらず補助金を支出している事例があった。昨年度には事業実績の確認の不備により補助金の返還に至った事案も発生しているので、補助事業における事務処理については、佐渡市財務規則、補助金等交付規則等に従って、申請内容の十分な審査や完了時の厳正な検査を適正に行われたい。
一般会計
歳入総額のうち主なものは、地方交付税、市債、国庫支出金、市税などである。特に地方交付税は243億7,183万1千円で歳入全体の38.2%を占めている。
市債発行額の歳入全体における割合は18.6%で、前年度と比較すると収入済額は43億9,538万1千円増加している。これは合併特例債の発行額が73億6,870万円で、前年より45億9,620万円増加したことが主な要因である。地方債現在高は、前年度より50億3,334万5千円増加し、611億9,538万6千円になっている。
市税の収入未済額6億9,318万4千円は、市民税1億2,086万4千円(個人市民税1億1,230万5千円、法人市民税855万9千円)、固定資産税5億5,687万1千円、軽自動車税1,544万9千円となっている。
市税の収入未済額及び徴収率の推移
収入未済額(千円) | 徴収率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 604,547 | 89.7 |
22年度 | 664,202 | 88.7 |
23年度 | 695,722 | 88.2 |
24年度 | 698,755 | 88.1 |
25年度 | 693,184 | 87.8 |

市税を除くその他自主財源の収入未済額は8,223万1千円となっており、前年度と比較すると7.0%、622万4千円の減となっている。
その他自主財源の収入未済額の主なものは、保育料が2,181万6千円(収納率93.3%)、住宅使用料等が4,961万3千円(収納率81.9%)であり、この合計額7,142万9千円は、市税を除くその他自主財源の収入未済額全体の86.9%を占めている。
その他自主財源の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 71,129 | 98.9 |
22年度 | 86,995 | 98.6 |
23年度 | 91,328 | 98.4 |
24年度 | 88,454 | 98.6 |
25年度 | 82,231 | 98.7 |

歳出については、人件費、維持補修費が減少したものの、前年度から繰越した経済対策事業や国営かんがい排水事業、合併特例債による普通建設事業が増額となったほか、財政調整基金への積立金の増加などが主な増額の要因である。
構成比率で上位を占めているものは、総務費25.6%、民生費15.1%、教育費15.0%、公債費12.1%となっている。
支出済額は617億8,670万円で130億1,081万9千円(26.7%)の増となっている。
特別会計
12特別会計の歳入総額は219億7,267万9千円、歳出総額は215億8,521万8千円で形式収支及び実質収支は黒字決算である。しかし、前年度の実質収支を差引いた単年度収支は4,819万1千円の赤字、財政調整基金積立金などを加味した実質単年度収支においても704万8千円の赤字となっている。
なお、一般会計から特別会計への繰出金は44億5,292万8千円、特別会計から一般会計への繰出金は5,076万5千円となっている。
国民健康保険特別会計
歳入については、国民健康保険税の改正による国民健康保険税の増、国庫支出金や繰入金の増はあるものの、療養給付費等交付金や前期高齢者交付金の減により、歳入総額は前年度と比べ4,275万5千円(0.6%)の減となっている。
また、歳出は年間被保険者数が減となり、1人当たりの給付額が伸びているものの療養給付費が減、後期高齢者支援金等及び介護納付金などは増となったが、共同事業拠出金の減などで歳出総額は前年度と比べ9,502万1千円(1.3%)の減となっている。国民健康保険税の収入未済額は3億1,689万8千円で、前年度と比べ214万9千円(0.7%)の減となっている。徴収率は80.4%で0.5ポイント上昇している。
国民健康保険税の収入未済額と徴収率の推移
収入未済額(千円) | 徴収率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 273,646 | 80.5 |
22年度 | 295,195 | 80.9 |
23年度 | 312,283 | 79.4 |
24年度 | 319,047 | 79.9 |
25年度 | 316,898 | 80.4 |

後期高齢者医療特別会計
前年度と比較すると歳入総額は、保険料が748万9千円増加したほか、新潟県広域連合への派遣再開による人件費負担金535万4千円などの増があり、1,475万1千円(2.1%)の増額となっている。
歳出総額は人件費や広域連合納付金の増加により1,559万5千円(2.2%)の増となっている。
保険料の収入済額は4億6,116万円で、前年度と比較すると748万9千円(1.7%)の増、収入未済額は462万8千円で4千円(0.1%)の増となっている。
収納率は98.8%で、前年度より0.1ポイント低下している。また、不納欠損額は76万1千円で15万2千円(24.9%)の増となっている。
後期高齢者医療保険料の収入未済額と収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 4,792 | 98.9 |
22年度 | 4,678 | 98.9 |
23年度 | 4,587 | 98.9 |
24年度 | 4,624 | 98.9 |
25年度 | 4,628 | 98.8 |

介護保険特別会計
前年度と比較すると歳入総額は、被保険者数の増などにより保険料が1,768万2千円の増、国庫支出金、支払基金交付金及び一般会計繰入金も増となり、4億3,990万5千円(5.6%)の増となっている。
歳出総額は保険給付における延受給者数の増により、4億8,225万1千円(6.3%)の増となっている。
保険料の収入済額は13億3,462万7千円で、前年度と比較すると1,768万2千円(1.3%)の増、収入未済額は2,577万9千円で313万円(13.8%)の増となっている。
収納率は97.9%で、前年度より0.2ポイント低下している。また、不納欠損額は294万円で1万1千(0.4%)の減となっている。
介護保険料の収入未済額と収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 15,670 | 98.5 |
22年度 | 15,906 | 98.3 |
23年度 | 19,057 | 98.2 |
24年度 | 22,649 | 98.1 |
25年度 | 25,779 | 97.9 |

簡易水道特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は9,014万5千円(8.2%)の増、歳出総額は1億1,015万9千円(10.8%)の増となっている。これは、前年度から繰越した建設改良事業の完了に伴い、国庫支出金、繰入金などの収入が増加したことが影響している。
使用料及び手数料の収入済額は3億2,057万9千円で、前年度と比べて301万2千円(0.9%)の減、収入未済額は284万5千円で34万円(10.7%)の減となっている。
また、収入未済額の内訳は使用料283万8千円、手数料7千円である。
収納率は99.1%で、前年度より0.1ポイント上昇している。
簡易水道特別会計における使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 2,067 | 99.4 |
22年度 | 2,133 | 99.5 |
23年度 | 2,614 | 99.1 |
24年度 | 3,185 | 99 |
25年度 | 2,845 | 99.1 |

下水道特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は国庫支出金及び繰入金の増などにより2,772万1千円(0.9%)の増となっている。また、歳出総額は公債費が減となったものの、下水道建設費などが増となり、4,572万5千円(1.5%)の増となっている。
分担金及び負担金、使用料及び手数料を合わせた収入済額は6億4,126万1千円で前年度と比較すると5,392万9千円の減、収入未済額は3,785万3千円で272万円の減となっている。収納率は94.4%で前年度より0.6ポイント上昇している。
また、歳入総額に占める割合は20.7%である。
下水道特別会計における分担金及び負担金、使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 55,613 | 90.5 |
22年度 | 51,243 | 92.5 |
23年度 | 47,768 | 92.8 |
24年度 | 40,572 | 93.8 |
25年度 | 37,853 | 94.4 |

ケーブルテレビ特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は、有線放送電話の廃止に伴う使用料の減があったものの、一般会計繰入金の増により7,244万4千円(28.9%)の増となっている。
歳出総額は自主放送施設整備工事の実施により、7,844万3千円(32.1%)の増となっている。
使用料及び手数料の収入済額は1億738万9千円で、前年度と比較すると355万3千円(3.2%)の減、収入未済額は371万2千円で15万7千円(4.1%)の減となっている。収納率は96.7%で0.1ポイント上昇している。
ケーブルテレビ特別会計における使用料及び手数料の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 2,923 | 97.3 |
22年度 | 3,981 | 96.5 |
23年度 | 4,059 | 96.5 |
24年度 | 3,869 | 96.6 |
25年度 | 3,712 | 96.7 |

歌代の里特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は、入所者の入院等によりサービス収入が減ったものの、歌代の里運営基金及び一般会計からの繰入金により168万円(0.3%)の増となっている。
歳出総額は人件費が減となったものの、耐震診断業務委託を実施したことにより198万9千円(0.4%)の増となっている。
すこやか両津特別会計
前年度と比較すると、歳入総額は、サービス収入が185万2千円、繰越金が1,232万円減となったため1,349万3千円(2.3%)の減となっている。
歳出総額は人件費の減により958万6千円(1.6%)の減となっている。
サービス収入のうち自己負担金収入の収入済額は9,206万6千円で、前年度と比較すると47万8千円(0.5%)の減、収入未済額は192万7千円で32万4千円(20.2%)の増となっている。
収納率は前年度と同じ97.9%である。
すこやか両津特別会計における自己負担金収入の収入未済額及び収納率の推移
収入未済額(千円) | 収納率(%) | |
---|---|---|
21年度 | 1,589 | 98.2 |
22年度 | 3,865 | 96 |
23年度 | 2,941 | 97 |
24年度 | 1,604 | 97.9 |
25年度 | 1,927 | 97.9 |
