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認証式と意見交換会(インセプション・ワークショップ)の記録

平成23年6月16日、開催

2011年11月17日、掲載

農林水産課 農業政策室 生物共生推進係(0259-63-5117)

本ページの目次

日時・会場・参加者

日時
平成23年年6月16日(木曜日)午前9時〜10時30分
会場
佐渡市役所 本庁舎 3階 大会議室
参加者

22名

  • FAO(国連食糧機関):パルビス・クーハフカン氏(土地・水資源部長)、松田祐吾氏(日本事務所副代表)
  • UNU(国連大学):武内和彦氏(副学長)、高橋志麻子氏(リサーチフェロー)
  • 農林水産省:近藤秀樹氏(農村環境課長)
  • 北陸農政局:相馬厚司氏(次長)、渡辺安宣氏(企画調整室長)
  • 佐渡地域振興局:早福弘氏(局長)
  • 環境省佐渡自然保護官事務所:長田啓氏(首席自然保護官)
  • 朱鷺・自然再生学研究センター:桑原考史氏(特任准教授)
  • 佐渡農業協同組合:板垣徹氏(代表理事理事長)
  • 羽茂農業協同組合:中原雅司氏(代表理事組合長)
  • 朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会:江口誠治氏(会長)
  • 佐渡トキの田んぼを守る会:斎藤真一郎氏(会長)
  • 笹川の景観を守る会:金子一雄氏(会長)
  • NPO法人佐渡芸能伝承機構:松田祐樹氏(理事長)
  • (社)佐渡生きもの語り研究所:仲川純子氏(理事長)
  • 岩首棚田・とき共生みらい:大石惣一郎氏(事務局長)
  • 佐渡市:高野宏一郎(市長)、藤井裕士(総合政策監)、金光英晴(市議会議長)
  • 事務局:渡辺竜五(農林水産課長)

認証式

開会あいさつ

佐渡市長、高野 宏一郎

佐渡市と能登が日本ではじめて認定を目指したジアス(世界農業遺産)につきまして、両地域ともに国連食糧農業機関(FAO)の認定を受けましたので、ただ今から佐渡インセプション・ワークショップを開催させていただきます。

本日は、FAOのパルビス・クーハフカン様はじめ、多数のご来賓を賜わりましたことに心からお礼を申し上げるしだいです。

また、申請から認定に至る間、多大なるご支援を頂きました農林水産省、国連大学、関係機関の皆様にもこの場をお借りして感謝申し上げます。

さて、ジアスの認定は、人々の生活や文化と密接にかかわってきた佐渡の農業が、様々な環境の変化にも適応し受け継がれたことと、認証米に代表される新たな農法が、生物多様性を保全する仕組みとして認められたことによるものです。

ジアスの新たなスタートにあたり、この認定を誇りに思うとともに、受け継いできたこの農業の価値を認識し、より一層の持続可能な農業生産活動と里山、自然、文化の保全、そしてトキをシンボルとした生物多様性保全が日本のモデルとなれるよう発信し推進していかなければなりません。能登と連携を深めながら進めていきます。

認証式後に行われる意見交換会では、佐渡でそれぞれの思いで活動されている団体の皆様にお集まりいただきました。短い時間ではありますが活発な意見や提案を期待し、簡単ではありますが私の挨拶といたします。

祝辞

農林水産大臣、鹿野 道彦氏

認定式の開催にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

まずは、この度、佐渡地域が世界農業遺産の認定を受けられたことに対し、心からお祝いを申し上げます。

貴地域につきましては、日本で最後の野生トキが生息していた豊かな生態系や景観を守り、これを未来に受け継いでいくために行われている冬期湛水や減農薬・減化学肥料栽培などの「生きものを育む農法」が高く評価されたと伺っており、こうした取り組みに携わってこられた地域の皆様方のご研鑽、ご努力に対しまして、深く敬意を表する次第であります。

ご承知のとおり、我が国の農林水産業を取り巻く環境は、農業者の高齢化・農村の過疎化が進展し、大変厳しいものとなっています。また、東日本大震災により、農林漁業においても、地震・津波による未曾有の被害が生じているところであります。このため、農林水産省では、戸別所得補償制度の導入によって経営を下支えしつつ、地域資源を活用した農山漁村の6次産業化の推進などにより、農業経営の発展と農山漁村の活力再生を図るとともに、被災地の一日も早い普及・復興に向けてあらゆる努力をして参ります。

こうした中で、佐渡地域の取り組みが世界農業遺産に認定されたことは、農産物のブランド化や観光への活用を通して農村地域の活性化等の効果も期待され、我が国の農政推進上の観点からも大変意義のあることと考えており、農林水産省といたしましても、引き続き、皆様の取り組みを支援してまいる所存です。

結びに、本日ご参集の皆様方のご健勝を祈念いたしますとともに、今回の認定を機に、佐渡地域の農業・農村の振興が図られることを期待いたしまして、私のお祝いの言葉といたします。

国際連合大学副学長、武内 和彦氏

Dr. Parviz Koohafkan, GIAHS Coordinator, FAO(パルビス・クーハフカン国連食糧農業機関 世界農業遺産土地・水資源部長)、高野 佐渡市長、近藤 農林水産省 農村環境課長、相馬 農林水産省北陸農政局次長、ご出席の皆様

このたび、佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」がFAOの世界農業遺産(ジアス)に正式に認定されました。日本初のジアスという快挙に、国際連合大学を代表し、皆様と喜びを分かち合うとともに、関係者の皆様に、心よりお祝い申し上げます。

さて、私ども国連大学は、今回のジアス認定に向けた取り組みにおいて、先駆的な役割を果たしてきたものと自負しております。国連大学では、以前から、世界各地で「農業多様性」の研究を行ってまいりました。そこで得られた学術的知見や情報を活かし、長年FAOのジアス推進にも協力してきたわけですが、日本の伝統的な里山は、ジアス認定の要件を十分に満たしていると思いました。そこで、今から2年前、FAOのパルビスさんにお会いした時に日本でもぜひジアスに取り組みたいとお話し、然るべきサイトの選定をお約束しました。

国際生物多様性年でもあった昨年は、日本が議長国となり名古屋でCOP10が開催されました。その前にぜひ一度、佐渡の農業を直にみせていただく必要性を切に感じ佐渡を訪れ、高野佐渡市長にお会いする機会がございました。その時、市長の強力なリーダーシップの下に取り組まれていた「トキと共生する農業」に私自身、たいへん感銘を受けました。そこで、国連大学としても佐渡をジアスの候補サイトとして推奨することになり、農林水産省とも協力しながら鋭意精進してまいりました。とくに、昨年からは農林水産省北陸農政局の組織を挙げたご支援をいただき、さらに、農林水産大臣からもご協力のお約束をいただいて、今回の日本初のジアス認定が実現したものと考えております。私ども国連大学も、FAOとの協議をはじめFAOへの申請書の作成やアクションプラン作成などをお手伝いさせていただきました。スタッフの尽力に対して、私からも心からの謝意を伝えるとともに、この日を迎えることができたことを、国連大学スタッフ一同、大変うれしく思っております。

今回のジアス認定は、まさにこれからの取り組みの第一歩です。ジアス認定を契機に、関係者の皆様が力を合わせ、この佐渡の豊かな里山を次世代に伝えていくことを願っています。そのためにジアス認定を農産物のブランド化やアグロ(農業)ツーリズムの振興など、さまざまな方面に大いに活用し、佐渡の活性化及び持続的な農業モデルの発展につながることを期待しております。そうした地元への効果に加え、農業以外のセクターとも協力した新しいビジネスモデルの創出、海外のジアスサイトとの交流や事例・知見の共有などの展開が期待されます。また、COP10で正式に採択されたSATOYAMAイニシアティブとの連携も祈念しつつ、佐渡の今後に大いに期待したいと思っております。

またそのCOP10で、国連大学はFAO、農林水産省とともに「農業と生物多様性」をテーマにサイドイベントを開催し、たいへん盛況でございました。そのメッセージを一言でご紹介しますと、これまで農業は生物多様性を妨げるとの認識が主流でしたが、実際は必ずしもそうではなく、むしろ「持続的な農業は生物多様性保全と共存し、ともに発展していくことができる」ということです。佐渡の取り組みにもあるように、これからは生物多様性の保全に資する農業の主流化と推進が望まれ、これはまたジアスの趣旨とも合致すると確信しております。

国連大学は、これからも皆さんの活動を、国際連携と学術面から力強くご支援していくことをお約束申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

農林水産省北陸農政局次長、相馬 厚司氏

このたび佐渡地域がジアスとして認定され、このワークショップが開催されるに当たり、一言ご挨拶申し上げます。

本日、FAO天然資源管理・環境局のパルビス土地・水資源部長をお迎えして、地元の皆様方と佐渡地域が正式にジアスに認定された喜びを分かち合えること、大変嬉しく、誇らしく思います。

私たちの身の周りの一見普通の風景や営みが、実は長年培われた先人の努力の結晶であり、次世代に引き継ぐべき大切なものであることを全世界に知ってもらおうというFAOのジアスプロジェクトは、まさに佐渡の目指す方向と合致していると思います。

昨年の4月、今ご挨拶いただいた武内先生の強いお勧めを契機に、北陸農政局においてジアスの認定を目指した取り組みを始めました。

高野市長様の力強いリーダーシップのもと、環境省佐渡自然保護官事務所や朱鷺・自然再生学研究センター(新潟大学)をはじめとする関係者の皆さんのご尽力により、非常に短い準備期間で申請・認定にまでこぎ着けました。

その過程に北陸農政局も立ち会えた幸運に、深く感謝申し上げます。

この取組みの開始から申請までのスピードの速さ、北京で高野市長様が自らなさったジアスに対する熱意あふれるプレゼンテーション、またステアリングコミッティで佐渡市から提示された今後の具体的な行動計画の緻密さとその高い実現可能性については、先ほどパルビスジアス事務局長からもお話がありましたが、関係者の皆様方の大変なご努力の成果だと、高く評価を頂いています。

また、これまで、地元で開催された申請記念フォーラムやワークショップには、沢山の方々にお集まり頂いており、ジアスに対する地元の関心と期待の高さを感じております。

ただ、重要なことは、ジアスとして認定されたことはゴールではなく、世界から認められたジアスを活用し、地域が一体となって佐渡の農林水産業の持続的な発展と地域の振興を図っていくスタート地点に立ったということです。

皆さんの地域で取り組まれている農林水産業や地域振興の取り組みが、それぞれ個別のものではなく、ジアスという包括的なシステムとして一体的に発展させていくことが重要です。

まさに、これからの皆様方の活動が、世界から注目され、評価されることになったわけです。

佐渡地域は、朱鷺の我が国最後の生息地であり、2008年から「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」による環境保全型農業を推進され、その結果、米の付加価値が高まり、認証農家数、取組み水田面積とも年々大きく増加しています。

また、佐渡金山の発展から人々の活動により守られてきた美しい自然や農地、環境のみならず、農業振興と深く関わってきた伝統文化や芸能が保全され、これらが地域振興や生物多様性の保全にも大きく寄与してきました。

北陸農政局といたしましては、農林水産業はもちろん、これと一体的に行われている生物多様性など環境保全や地域振興の取り組みに対して、重点的な支援を行って参りたいと考えております。特に今年度からは、これまで行ってまいりました農地・水・環境保全向上対策事業の拡充・強化や、新たに「食と地域の交流促進交付金」などにより支援(佐渡地域では7件が認定)するなど、佐渡市をはじめとする関係者の皆様とも連携しながら、最大限の協力をさせていただきたいと考えております。

ここにお集まりの関係者の皆様が連携した、島を挙げたより一層の取り組みにご期待申し上げ、ご挨拶といたします。ジアス正式認定、おめでとうございます。

認定書授与

国連食糧機関のパルビス・クーハフカン氏と国連大学の武内和彦氏から、佐渡市長へ認定書が授与されました。

左から、武内和彦氏(国連大学)、高野宏一郎(佐渡市長)、パルビス・クーハフカン氏(FAO土地・水資源部長)。

意見交換会の様子。

決意表明

佐渡市長、高野 宏一郎

本日、皆様の前で、FAOパルビス様から認定書をいただきました。FAOの皆様方には心からお礼申し上げるとともに、これから始まる佐渡のジアスについて引き続きご指導ご助言を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。

認定を機に佐渡ジアスプロジェクトアクションプランについて、市民の皆様と産官学の連携を構築し、佐渡島が一体となって、環境再生と経済発展の仕組みが強固となるよう推進し、人と自然が共生する里山の風景、文化、生物多様性保全の新しいモデルとして佐渡の取り組みが確立されるよう努力を続けたいと決意を新たにしているところです。

最後に、これまで世界農業遺産(ジアス)登録のためご尽力いただいた国際連合大学、農林水産省等関係機関の皆様、そして美しい島を守り続けてきた市民や島を応援して頂いているすべての皆様に感謝申し上げ、私の決意表明といたします。

意見交換会

朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会、江口氏

ジアス認定に感謝している。農家にとってジアス認定は、どのような意味を持つのか?米づくりのなかで、朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会としては、トキと共生するというテーマを掲げていた。これが生きものと共生するというテーマに発展し、農家がそのことの意味に気づき始めた。この認定は農家にとって非常に自信となる。農家にとって農業経済は基本である。生物多様性の米づくりが、産業として成り立っていくのか。自信と誇りを持つことはできたがどう消費者につなげていくのかが大きな課題である。どう消費者が理解し購入してもらえるか、循環の仕組みづくりができるのか現場でも努力するが、ご指導いただきたいところである。

国連大学、武内氏

世界でも生物多様性と農業をつなげたうえで、それをどうやって新しいビジネスモデルとして展開していくかということを問われている。

一つの要点は、農業者が農業生産だけで終わらせていては、新しいビジネスモデルは展開できないのではないか。農業生産者が、林業・水産業・流通・加工・販売と広い視野の中で、自分たちのやっている生産を位置づける。そこで全体として観光などを含めた新しいビジネスモデルが成り立つのかならないのか。一品だけを取り上げていたのでは限界がある。価格を下げて大量生産をしてもだめだった。いろんな物を組み合わせて付加価値を付けいって、足し合わせたり掛けたりすることでビジネスモデルになることが必要。いろんな業種の人達とチームを組む必要がある。例えば役所とNGO、NPOや農業者と皆でチームを組んで新しい地域をマネジメントしていくことを考えていったらどうかと言われている。

農林水産省の食料・農業・農村政策審議会の会長代理をしているが、そこでは第6次産業論というのが出ている。1次産業だけではなく、2,3次産業も含めて農業者が中心になって展開していくということで農業の活性化が図れるのではないかというもの。主旨としては先に述べたことと同じことではないか。現状ではご苦労されていることは承知しているが希望をもってその方向に向かう、取り組むことが大事ではないか。

国連大学のなかで希望学ということを言っている人がいて、日本の社会で一番欠けているのは希望学ではないかと思っている。希望というのは、今がいい状態だから希望があるのではなく、今は悪い状態でもいい方向に向かおうとするのが希望である。皆が希望を持って新しい社会のビジネスモデルを創っていくという方向に向かっていくことが何よりも大事だと私は思っている。

佐渡トキの田んぼを守る会、斎藤氏

佐渡が農業遺産にふさわしいと言われてから認定になるまで早かった。ただ、認定の要素となった生きものを育む農法は、まだ5年目で歴史は浅い。伝統的農法も組み合わせながら、経済価値だけではなく、生きものや風景に思い入れを持って取り組んでいきたい。ブランド化や地域活性化は最終的な目標であるが、ジアスが形だけで終わらせないようにしたい。農業があるからこそ佐渡の風景が守られているし、多くの生きものたちが守られているというコンセプトの中でこれからも頑張っていきたい。まだジアスについては認知されていないので、概念とかを周知・啓発をお願いしたい。今後ひろまってきたら佐渡でジアスサミットなども開催できたらアピールできるのではないか。

FAO、クーハフカン氏
  1. どのように継続的に発展させていくか。バランスが必要だ。社会(ソサエティ)・経済(エコノミィ)・生態系を守る(エコロジィ)でこの3つのバランスが大切だ。
  2. どのように使っていくか。ジアスのマークは日本のみならず、認定されたサイトは世界に発信(使用)することができる。(認証米のブランド化にも使える)
  3. ジアスとしては3つのレベルで考えている。どのように広げ実行していくか。世界的にはブラン化で広めていくということもありますが、国の政策とどのように調和をもって進めていくかをポイントにして頂きたい。(ローカルでは)佐渡の人々に、新しいビジネスの機会を与えるということ。
    先にスピーチの方々がこの3点を述べている。世界農業遺産として認定されたということが世界的(グローバリー)であること。国(農林水産省)がさらに支援を広げていくと言ったこと。武内副学長が言われた新しいビジネスの機会をジアスを通して創っていくんだということ。まさにこの3つを含めて進んでいくということになる。
  4. 今言った3つを上手く使って、高野市長の熱意・皆さんの熱意をプラスして動かして行けば、佐渡と能登が日本のモデルとなるばかりではなく、世界のモデルとなりうると私は思っている。
北陸農政局、相馬氏

地元の方々がジアス認定以前から取り組んできたことが伝わってきた。農政局としても認定をさまざまな観点から支援していくツールがある。

中山間地域を対象とした支払交付金の拡充。食と地域の交流促進交付金、食・地域資源・景観といった農村が持つ豊かな地域資源を活かして、都市住民を受け入れる、交流人口を増やしていく、農産物のブランド化を目指すなど幅広い取り組みに使える。佐渡では7地区が採択されている。環境保全型農業の取り組みについても従来の農地水環境保全交付金を今年拡充している。環境保全型農業の支援部分を単独の政策として確立できるよう切り離している。要件については、佐渡の皆さまが取り組みやすいようなものに直接話を伺いながら使いやすい仕組みへと進めていきたい。

笹川の景観を守る会、金子氏

私どもの住んでいる笹川集落は、先月(H23 ,5月)、国の重要文化的景観地域に選定されました。笹川集落の建物ならびに昔からの農村の景観を保全することを目的に発足されている。活動が始まって半年程度なので大きな活動には進んでいないが、今後活動の中で景観維持に取り組んで、ジアスの活動にも貢献できればと思っている。

NPO法人佐渡芸能伝承機構、松田氏

佐渡にはコミュニティ単位で芸能を伝承している集落が約150ある。人口6万3千で150はかなりの数字だと思う。伝承芸能の場は、集落の祭りに門付けという一軒一軒を回るというやり方で継承されている。芸能文化を守るために人づくりが行われている。最近、若い人達によく聞くことがあるが、芸能を地域を守るために自分たちは佐渡に残っていろんなことをやるんだと若い人が言う。その中にはもちろん農業もある。農業で頑張っていくキーポイントに芸能もあるかと思います。もう一つ、佐渡中の集落を回ってご馳走を振舞ってもらうが、集落の方々が言うのは、米自慢をしてくれる。私はどこへ行っても佐渡の米は世界一だと言うが、それぞれの集落ごとにあるので甲乙つけがたい。集落ごとに顔があり米がある。今まで継承してきた芸能を、若者たちが農業とともにこれからも受け継いでもらいたい。認定によって若者たちは自分たちの農業に誇りを持って欲しい。ジアスの取り組みがそうなってくれることを期待している。

国連大学、高橋氏

能舞台拝見させていただき、市長の金山から育まれた文化などの話を興味深く聞かせていただいた。金山と一緒に発展してきた芸能は150も集落ごとに伝承されているところに希望を感じる。これからもコミュニティや共同体と一体となった芸能や文化が息づき継続的につながっていくと思う。

FAO、松田氏

地域が持つアイデンティティ、地域に属している個人の意識が地域の力になり、生産活動なりビジネスにつながっている。ジアスの考え方からすると農業が基本にあるが、それを形づくり力となる文化とか伝統的知識とか生産の基礎となる重要な要素だと思う。それら全てをまとめて一つのシステムとして発展していってもらいたい。世界に発信していってもらいたい。

佐渡地域振興局、早福氏

赴任して驚いたのは、昭和25年12万人の人口が今は半分で限界集落も多い。そのなかで、さまざまな伝統芸能が維持伝承されていること。後継者不足もあるが、舞い方なども脈々と伝承され普通に継承されている力と意識の高さに驚かされた。能や民謡の地がた(演奏)など普通に継承されるところに佐渡のすごさがあると思う。そんなところが農業をはじめ、他にも島の暮らしに根付いている。振興局も人手が足りないところは補う活動もやっている。トキとの共生では農地部、土木部の方でお手伝いをさせてもらっている。

ジアス認定を機に農業者は自信をもってもらいたいが、自分たちの資源(宝)をもっと発信する。気づく、誇りを持つ。今回の認定には、さまざまなアイテムがある。認定までが早く、時間が少なく周知時間もなかった。これからやるべきことも多いが県も連携協力し、国からの助言ももらいながら進めていきたいと考えている。

農林水産省、近藤氏

農水省の農村環境課では、生物多様性を一つの柱として取り組んでいる。もう一つ上のレベルでやっているのは、農業農村を守る多面的機能を評価する仕事もさせてもらっている。今回ジアス認定を受けた佐渡について勉強させていただくと、農業農村が単に食糧を供給しているだけではなく、地域を守っている。地域の活性化あるいは地域の景観、コミュニティ、地域全体を調和させていく大きな役割を農業農村は担っているんだなと再認識させていただいた。今後農水省としても、農業農村を見ていくときに食糧供給は一番ベースですが、そこに住む人々がいかに知恵を持ってプライドを持って過ごせているか。それを具体化するときに食糧生産だけでなく地域があってコミュニティに基づいていろんなものが守られていくんだということが重要かなと。都市と農村交流はじめ、文化伝統はじめ、いろんなサポートをしていただきたいと思っている。特に景観に関しましては耕作放棄も増えているという中で、難しい時代ではあるが逆にそれを活かして新しい価値を創造してく地域も芽生えている。佐渡もいろいろな取り組みが始まっていると聞いているが先ほどの話にもありましたが、新しい価値を創っていく。1次産業、2,3次産業と分担されていたものを組み合わせ連携させ、特に現実的に人が減っています、ネットワークを上手く作っていくなかで新しい価値を従来の伝統の上に載せていくことが重要ではないかという認識で我々も応援させていただきたい。地域の方々の創意工夫を期待している。

羽茂農業協同組合、中原氏

羽茂地区は小さなコミュニティ単位があり、離れないし離せない。佐渡全体が地域にいながらたえず東京を見て生活しているように思える。そのような中で、羽茂地区はコミュニティの密着度が高い生活を送っている。棚田にも農業公社を通じて新しい移住者が来て取り組んでいる。そういう土地だ。新潟県下でもトップを切って5割減々を全員で取り組んだとか、やろうと言ったときに割りと地域が密着してまとまる土地柄だ。8年前、有人ヘリでの空中散布をやめようと言った当時の高野市長もまさかこんな早くに農業遺産の認定になるとは思ってもみなかったと思う。私は想像もできなかった。

これからは楽しい地域コミュニティを多くの人が入り込むなかで、築いていけるのかなと嬉しく思っている。地域に入ると小さなコミュニティが地域に根付いているということを言いたかった。

佐渡生きもの語り研究所、仲川氏

先月(5月)に立ち上げたばかりの団体だ。このような時にジアス認定を受けたことはとても大きな力になった。感謝している。5人で立ち上げた団体だが、私はこれまでトキの野生復帰を支援する活動に取り組んできた。佐渡トキの田んぼを守る会の斎藤会長にも参加してもらっている。まさに生物多様性と農業が研究所のなかでも融合していると思う。これからの活動については、生きもの語りという名前にもあるとおり、農業者が自分の田んぼを見て感動したことや見て気がついた生きものについて文章にしたり、写真にしたり、俳句にしたりして表現してもらう。それを私たちが田んぼが米だけでない生きものを育んでいるということを全国に発信していきたい。もう一つは佐渡市で生きもの調査の日が制定されている。6月と8月には農家の方や子供たちが調査をしている。まだ始まったばかりで活かされていないが、どんな生きものがどんな田んぼにいたか、どんな農法の田んぼであるかのデータを収集して田んぼの維持管理に役立てたい。これについては、新潟大学さんにも協力をしてもらいながら進めていきたい。

岩首棚田・とき共生みらい、大石氏

先進地初ということで、覚悟と責任が持てるのか不安だ。佐渡では棚田地域に目を向けてもらってなかったので、これで少し向けてもらえるのかなと喜んでいる。10年前から棚田学会の方とかNPO棚田連絡協議会の方から棚田の価値を農家の方に教えてもらっている。私たちにとってこれは苦しい農業の場所であって、素晴らしいとは思ったことがない。よそから来た人がなぜこの素晴らしい空間をなぜ守れないのかと言われるたびに、自分たちの力の無さを痛感している。6次産業化などと言われましても佐渡の棚田は辺地で交通の便も悪く。ジアスをきっかけにこういうところにも日が当るような政策、観光振興がされるよう期待している。前浜には海の見える美しい棚田はあるが、日本棚田百選にも選ばれていない。これは申請を上げていなかった昔の行政の責任だと聞いた話です。東京大学の学生の話ですが、岩首の棚田を見て、百年後の日本を考えたときに、明日の日本のことを考えたほうが大事だと思った。この棚田が与える生命力は絶対日本人は守らなければならない。と確信したそうで、人を感動させる棚田を守る方法をジアスを通して私たちに教えていただきたい。

佐渡農業協同組合、板垣氏

武内先生が言われた近代的農業は、私たちも進めてきた。そのときは農業と生物多様性の関係は不幸な関係だった。今は、生物多様性と農業が佐渡の地において、幸せな関係になってきているとひしひしと感じている。私どもも環境に優しいという農業を平成18年度から全佐渡の農業者の皆さまと始めたわけです。環境に優しいから、生きものを育む・生きものと共生するというようにどんどんとコンセプトが変わってきている。まさに生物多様性の農業がメインの柱となってきている。そのようななかで、5割減減の特別栽培米を平成24年産米からは全量5割減減にしようと。農業者の方も理解いただき今年は約8割が取り組んでいる。農業のなかで、生きものを育むということが佐渡の米を消費者に訴えていくなかで重要なポイントとなっていることを農業者も実感しつつあるのが今の状況だと思う。ただ、生きものを育むということの理解をもっと深めて、自分たちが生きものを育むことの喜びとか楽しさを皆と分かち合っていけるような農業遺産の取り組みを進めなければならない。米の販売に関しては、佐渡米の認知度が非常に高くなっているのはこの間、顕著に表れている。そういう意味での経済効果というところも農業者に伝えながら進めてまいりたいと思っている。

環境省、長田氏

今年は7つがいがペアとなり全てが産卵をしてくれた。現状としてはヒナの姿を見ることは非常に厳しい状況になっております。今後はこのことにどうやって対応していくかが重要となってくる。トキは水田と切り離せない鳥という存在で、どいう場所をトキが移動しているかは、定数的にはわかってきているがもっと具体的に分析していくかがこれからの課題だと思っている。認証米の仕組みの管理もGISのシステムを使って1枚1枚の田んぼで管理ができるという仕組みができているし、トキの情報を重ねてトキをはじめとする生物が豊かな水田とはどういう条件を備えているかということも、これからは分析していくことができるし、そういった部分でトキの位置情報等の提供も環境省として努力していきたいと思っている。そういったことを通じて政策にフィードバックして生物多様性豊かな島づくりを現実のものにしていくことが重要だろうと思っている。

朱鷺・自然再生学研究センター、桑原氏

先ほどの大石さんの東大の学生の話は感銘を受けた。私は朱鷺・自然再生学研究所にいて、農業経済学を専攻しているので農業が気になるのですが、おそらく佐渡の水田農業は平場を中心にこれから構造再編が進まざるをえないんだろうと思う。少数の担い手、集落営農、法人に農業が集約されていくことになっていくんだろうと。そのときに生物多様性を保全する農業が少数の担い手がやるだけでいいのか。そういうことではないだろうと思う。平場であっても水路や河川、農道の管理といったように地域社会の共同性が必要になってきますし、中山間、まして棚田ということになれば、地域で支えていく、外部の人も交えて支えていくという体制が必要となるだろうと思う。そういった意味で今回のジアスは、産業としての農業、大規模にやる農業ということだけではなく地域社会が支える農業、あるいは地域資源管理も含めて頑張って欲しいとそういう激励の意味があるのだろうと感じた。新潟大学もそのような立場で、生態系の調査、地域社会・経済の調査を進めて佐渡市に何らかの還元ができるように努力したい。

北陸農政局、渡辺氏

昨日、一番感激したのは夕日が地平線に沈んだこと。金沢でもなかなか見ることができない。生き物調査も去年能登で初めてやった。東京だとなかなか体験できない。もう一つ棚田のこと。世界のサイトでも棚田が認定されているところがある。棚田は棚田でお互い交流して、日本が持っている技術で別の世界の棚田のサイトに提供できるものがある。そういう交流も進めていけばいいと思う。私は個人的にも島が大好きだ。景色だけでなくいろんな資産を持っている島だと思う。ジアスの取り組みについては、地元の人と関わっていきたいと思っている。

FAO、クーハフカン氏

今日の意見交換会で佐渡市は、周りから同意を得るプロセスを有していたと思った。前もって人々の同意を得るために情報を発信する、理解してもらうことが大切だ。

ジアスは世界農業遺産という言葉ではあるものの、決して過去のものではなく未来のものだということを皆さんと確認できたと思う。

ここで皆さんと話していることは、この過去の遺産をさらに上手く使って現代の様式に活かしそれを未来に繋げていく。これを皆さんと話ができた。

これからの佐渡の未来、ジアスを担う若い世代がいます。彼らは熱意もある。彼らが一つのものだけでなく(農業もなんでも)いろいろな面で幸せで満たされるような形に我々が導いていくということが大切なんだと思う。

認定により皆さんがそれぞれにアクションプランを作って行く訳ですが、「短期的」と「長期的」の二つの目指すものを持って、さらにはジアスのサイト間でお互いに交換できるもの教えあえるものが何かということも考えていただきたい。

今日ここでみなさんと同じ時間を共有できたことを誇りに思う。そして佐渡はジアスサイトの中でも、非常に進んだサイトであるということを誇りに感じた。

おめでとうございます。これからさらに皆さんと一緒に進めてまいりたいと思っている。本日はありがとうございました。

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