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ジアス(GIAHS:世界農業遺産)推進フォーラムの記録

平成23年12月10日、開催

2012年1月24日、掲載

農林水産課 農業政策室 生物共生推進係(0259-63-5117)

本ページの目次

日時・会場・次第

日時
平成23年12月10日(土曜日)午後1時30分〜4時30分
会場
金井コミュニティセンター
次第
  1. 開会あいさつ(佐渡市長、高野 宏一郎)
  2. 第1部:基調講演
    1. 自然共生社会の再構築と豊かな農業農村の創造(国際連合大学副学長、武内 和彦氏)
    2. GIAHS(世界農業遺産)の可能性(国際連合大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長、あん・まくどなるど氏)
  3. 第2部:パネルディスカッション「世界農業遺産活用への提言」
  4. 閉会(佐渡市総合政策監、藤井)

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内容要旨

第1部:基調講演

自然共生社会の再構築と豊かな農業農村の創造

講師
国際連合大学副学長、武内 和彦氏
武内 和彦氏

自然共生社会という言葉はなじみがないかもしれない。1994年に環境基本計画が策定された。物が循環する社会、人と自然が共生していく社会、それを支える様々な取り組みを推進、国際的に視野を広げ世界の環境をよくするという4つの大きな柱がある。

2007年の21世紀環境立国戦略策定の際、21世紀の日本の環境面の目標を議論したときに低炭素社会、循環型社会、自然共生社会が提案され、閣議決定された。

名古屋でのCOP10で、自然共生社会を生物多様性条約の中に日本発の情報として発信していこうとなった。目玉は日本の社会の中にある人間と自然のいい関係のモデルは里山であるが、残念ながら里山は現在、荒廃している。里山を再生していくことが新しい日本の農業農村の創造にもつながっていく。

里山という言葉は英語に訳せなかったので、里山を世界の言葉にしようということでSATOYAMAイニシアティブという取り組みをCOP10に提案し、認められた。

COP10は生物の減少を食い止める、生物資源の持続的利用、遺伝資源から生じる利益の公平な配分を決めることが3つの大きな目的であった。

COP10では愛知ターゲット、名古屋議定書、が決められた。

ミレニアム生態系調査をいろいろな地域で行っており、日本では里山と里海をテーマに評価することになった。その結果、里山はこの50年で崩壊した。たった50年で失った人と自然の関わりを取り戻すことができるのではないかという希望が評価を通して見えてきた。

COP10のなかで世界にこの話を説明した。里山を大事にするには地産地消の農林水産物を維持していく体系を推進していくことが大事だと説明すると、自分たちの国の農産物が売れなくなり困ると批判する国もあった。しかし、途上国の人が日本の言っていることはよくわかるといってくれた。最終的に採択された。

里山という言葉を世界で使ってくださいということではなく、それぞれの地域のいろいろな言葉によって表せる特有の人間と自然の関係をそれぞれが尊重し、尊重しあう社会全体を地球全体に広げていくということが生物多様性をベースにした自然共生社会にふさわしい姿と捉えている。

共有する概念は社会生態学的生産ランドスケープを提唱しており、これはそれぞれの地域の特有の伝統的営み、農林水産業のやり方がある。やり方を大事にしながらかつその地域を一つの新たな文化としてさらに発展していけるような社会を作っていこうということである。

スタンフォード大学のデイリー教授は、自然資本、自然そのものが生きる基盤であると指摘している。一つのキーワードは、大量生産ができなくても生産物に付加価値をつけ、安定した収入を得るビジネスモデルを作るべきである。

生産者、流通、加工、販売のネットワークを形成することが必要。生産者が消費者に届いたときの相応の利益が生産者に還元できる仕組みを作ることが必要。

文化、付加価値、生きがい、健康などにお金を払う社会になってきている。農林水産業のあり方は成熟した日本社会のあり方に深く関わってくる。

FAOが大量生産ではない伝統的な農業を大事にして認証するということは画期的なこと。

FAOのジアス総責任者であるパルビス部長は、ジアスは過去を褒めることではなく、未来をみんなで考えることと述べている。

自然の恵みと脅威の両面とつきあっているという認識が重要。自然を封じ込めようというより危ない所は住まないようにとか逃げ道を考えるとか災害をうまくいなしていく社会を考える必要がある。

東北の復興について、第1次産業がいかによみがえるか。1×2×3の6次産業を震災復興で考えていかなければならない。

また、新しいタイプの国立公園として、三陸復興国立公園を仮称としている。もともとは、三陸海岸国立公園だったが、海岸だけだと里海だけで里山がない。ネイチャートレイルやジオパークも提唱している。

世界が一つになる社会ではなく、それぞれの個性が輝いてお互いが仲良く付き合い、多様性を題材にした世界の連体に向かって進んでいくことが望ましい。そういったことにジアスを活用していただきたい。

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GIAHS(世界農業遺産)の可能性

講師
国際連合大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長、あん・まくどなるど氏
あん・まくどなるど氏

ジアスは活きたシステムを評価していることが大きな柱。変化がなければ持続性がない。時代によって適応する動的システムが評価されている。

今までは何でも太平洋側から始まることが多かったが、今回のジアスは佐渡と能登で日本海側からスタートした。伝統が生きたままで、昔から作り上げてきたシステムが評価された。

佐渡は抜群の先駆者。世界にいろんなことを提供している。農業は人間の食料を作るだけでなく、他の生物の餌場にもならなければならない。

人がいるからこそ里山がある。これはジアスでは大事なこと。

ジアスは文化、農業システムのほかに景観が大事。

自然界の影響を受けて人間活動があるので、1000年以上自然に人間がどう適応してきたのかを考えていくことが第1の作業。

昔の人は身近にある資源を利用して物を作ってきた。それも一つの景観になる。素材となる質も勉強しなければならない。

能登では、一昔前までは、ため池単位で集団就職があった。自然界がいかに人間社会の構造に影響を及ぼしてきたかがわかる。

佐渡のジアスも里海をいれたことがうれしい。

ジアスのなかで生物多様性がキーワードになっている。オンリーワンの作物作りより多様なものを作ったほうがいい。オンリーワンだと温暖化などで全部ダメになる場合もある。

ジアスのネットワークを活かしてローカルのものを大事にしてグローバルに活動していただきたい。

環境教育として、生きもの調査のほか都市住民のツーリズムなど期待される。

都会の人にいかに伝えるかは物語つくりが大事。私が物語づくりを学んだのは佐渡のおかげ。

今まで我々がどう自然界で生きてきたのかだけでなく、次世代の担い手にどのようなものを残していくかがジアスの課題から我々に問いかけられているのではないかと思う。

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第2部:パネルディスカッション

テーマ
世界農業遺産活用への提言
コーディネーター
  • 環境省佐渡自然保護官事務所 首席保護官、長田 啓氏
パネリスト
  • 国際連合大学副学長、武内 和彦氏
  • 国際連合大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長、あん・まくどなるど氏
  • 日本雁を保護する会会長、呉地 正行氏
  • NPO法人 佐渡芸能伝承機構 理事長、松田 祐樹氏
  • 佐渡市長、高野 宏一郎
パネルディスカッションのようす
呉地氏

水田の生物多様性が重要であることをCOP10などで国際的に発信してきた。

宮城県では、農業の敵であった雁とうまく共生できるようになってきた。環境に敏感な雁たちに選ばれた田んぼでできたお米は環境がいいと証明してくれている。価値のあることを示していけば経済的にもよくなる。冬水田んぼの取り組みも広がってきた。今後目指す未来を共有していくことが大事。

佐渡にも真野湾に近いところに雁がいる。雁は全国的に増えているが、佐渡では減っている。このままでは消えていく可能性が高い。

佐渡では、トキについては一生懸命やっている。雁に対してはあまり知られていないので、ぜひ取組んでいただきたい。

数が減っている原因として、雁が来る前に秋耕をするとエサがなくなる。春に行うとかやり方があると思う。

松田氏

好きな作家の言葉で、「文明に国境はないが、文化には国境がある」というものがある。

佐渡では鬼太鼓が125ある。鬼太鼓は地域の暮らしを豊かにしていると思う。

高度経済成長の昭和35年から40年代にかけて出稼ぎや仕事が忙しいなどで祭りや集落の機能が落ちた。

現在は、佐渡だけにとどめておくのはもったいないということで、大学生を呼んでいる。

高千芸能祭は、行政の手を借りず自分たちの手で行っている。一昨年から相模女子大がお手伝いに来ている。その後の交流で、高千集落が相模女子大の学園祭に参加している。

民俗学者の宮本常一氏は地域の振興に大切なのは目的を持った仲間作りが大切といっている。高千はその意味でいい例である。

佐渡市長

ジアス申請内容は、文化と生物多様性を柱にした。文化は、2008年のトキ放鳥とその前の認証米制度、相川金山文化のなごりを2つの柱にした。

1601年から1650年佐渡は人口が10万とも20万人ともいわれ、大消費社会が相川にできた。豊かになった人は各神社に能舞台を造った。自作農ばかりできたので、集落で農業を行うといった取り組みが進んできたのではないかと思う。

佐渡では、2007年には米が5000t余った。その後認証米の取り組みなどで売上が伸びた。この評価の勲章をまた次に繋げて生きたい。

武内氏

前の文化庁長官の青木先生は、文化は農林水産業と切り離されているイメージがあるがそうではないといっている。文化は生活している全てであり、農業の生産のみに目を向けるのではなく、農業を営む暮らしが人々の豊かさになるというなかに生産を考えるべき。ジアスはベースとして伝統的、維持する努力、豊かな文化、あるべき地域の価値が評価された。

新しい価値を生み出すことにジアスを使ってほしい。

あん・まくどなるど氏

農家、コミュニティーが主役。行政は支援者である。

ジアスを推進していくための既存の政策は何があるのかを見たうえで、シフトがしやすいためにどういう政策が必要になってくるのか今考えている。

原氏

ジアス登録で、お金は出ない。パラダイム転換の手伝いをジアスがすると考えてほしい。

呉地氏

持続可能な営みを続けていくことが文化である。ジアスは人間の生業でできてくるので、未来に向けて取組みを支えていく。人間の多様性を高めることが大事。素人の考えのほうが新鮮なこともある。いろいろな人が入り込める空気作りも必要。結果として魅力的な運動になる。みんながぜひ参加したいジアス運動を作っていけばいい。基本は面白いという運動である。

松田氏

文化は一言でいうと生活様式だと思う。未来を考え、次世代に残していくという言葉はありがたい。芸能は、地域そのものの生活用式だったりする。芸能を継承していくのは地場産業が必要である。地場産業を振興していくのは佐渡を資源とした財産である。

ジアスは佐渡が育んできた財産が選ばれたことで喜ばしい。生活様式が世界に認められたと思っている。ジアスをどう活かすかは地域の人がもっとジアスについて話し合うといい。行政は手伝いである。

目的は、佐渡が豊かに暮らせるということで、ジアスはその手段である。

佐渡市長

今回認められた意味は、佐渡だからこそのコミュニティーが評価された。

例えば農業を行っている方は、お金にはたいしてならないが、誰からもほしがられて喜んで買ってもらえる産物を作ったりなど、価値あるものを作り上げる喜びを共有したい。

あん・まくどなるど氏

日本海側からジアスの認定を受けたので、佐渡と能登が活動をともに行ってほしい。交流のもとで新たな力が出てくると思う。

武内氏

日本の農林水産業はこれまで大規模化、集約化がいわれたが、見直しが必要。小規模農業や水産業、里山利用をうまくやっていく仕組みができないか、それを伝統文化と結びつけるのがジアスモデルといわれるもの。認証米農家の数が増えているなど佐渡は前向きに農林水産業を考えているので、ジアスを踏み台にしてもう少し高いレベルで新しい佐渡の将来につなげていってもらいたい。

原氏

ジアス登録は手段であり、佐渡のジアス物語のスタート。もう一度佐渡の江戸時代を思い起こして、佐渡のルネッサンスが今回のジアスであると考えてほしい。

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